The School of Gravity Blog

栃木県・宇都宮市で「からだとこころの関係」をテーマにした学校(schoolofgravity.jp)を運営しています。

北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)でのセミナー及びワークショップの記録

以前にこのブログで告知したように、2023年1月16日〜17日にかけて、北陸先端科学技術大学院大学JAIST)で、私の大学院での研究内容についてのセミナー(知識科学系セミナー「注意欠如/多動性障害(ADHD)の身体性精神医学」 | JAIST 北陸先端科学技術大学院大学)と、ボディーワークのワークショップを開催させていただきました(主催者は認知科学者の日髙昇平准教授)。

実は「①研究者として他大学に呼んでいただきセミナーをさせていただく」というのも、「②ボディーワーカーとして多人数相手のワークショップを開催させていただく」というのも32年の私の人生ではじめての経験で、しかもそこに「③修士論文の締め切り」という一大イベントも重なっていたので、切り抜けられるか不安がゼロだったといえば嘘になるのですが、結果的には指導教員をはじめ周囲のサポートのおかげもあり、思ったよりも苦労なく切り抜けられました。

でも、①と②の準備をしつつ③にも間に合うように論文を執筆するというやや重めのタスクのジャグリングは、仮に周囲のサポートがあったとしても、ボディーワークを知る前の身心のキャパシティの少ない自分だったらうまく回しきれなかったのではないかと思います。今回は「まあ、どうにかなるやろ」と思いながら焦らず落ち着いて作業して、実際にどうにかなったので、自分の成長を感じました(サポートくださった皆さんありがとうございました)。

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さて、まず1日目のセミナーですが、オフライン参加は7-8名、オンライン含めるとなんと30名超の方々が参加してくださいました。私の友人たちも数名オンラインで来てくれて感想を教えてくれたので嬉しかったです。自分は大勢の人の前で自分の考えをあれこれ喋るのは好きだし全然苦ではないのですが、とはいえ今までそういう場面では大抵上気してしまって早口になりがちでした。しかし1/16のセミナーでは、Yielding Embodiment®︎ Orchestrationのセッションをするときの心構えを応用して、自分の丹田のあたりや足裏の感覚に意識を向けつつ話をするようにしたら、特に前半はかなりゆったりと喋ることができて、そんな自分に自分で驚きました(前半ゆったり喋りすぎてちょっと時間が足りなくなったので、途中からやや急ぎ足にならざるを得ませんでしたが)。主催者の日髙さんや友人や参加者の方々からも落ち着いて喋れていたと言っていただいたので、客観的にもokだったようです。

日髙さんからいただいたフィードバックとして、発表の中でADHDの定義を示すタイミングがちょっと遅かったので、もう少し早い段階で示しておくとなおよかったのではないかとのこと。確かに全くその通りなので次回以降改善したいです。

あと一番嬉しかったのは、セミナーが終わったあとに「明日のワークショップも参加します!」と宣言しに来てくださった方(ご年配の社会人大学院生のKさん)がおられたことです。しかも後から聞いた話では、その方は同日に別の大きめのイベントもあったのに、私のイベントのほうを選んで来てくださったとのことでした。そんな熱意のある参加者の方に、2日目も参加したいと思っていただけるような刺さるセミナーができていたなら何よりでした。

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そして2日目のボディーワークのワークショップ。こちらは5名の方々が来てくださり、うち↑のKさんを含む3名は昨日のセミナーからの継続でした。このワークショップでは、フェルデンクライス・オンラインレッスン @Feldenkrais Works得豊合堂(エフアイどう)の澤田泰二郎先生の教材である『肩甲骨ゴルフ①』を、先生のご快諾のもと使わせていただきました。日高さんを除くとボディーワーク初体験の方ばかりで最初は皆さんちょっと緊張されておられたご様子でしたが、それぞれセッション後に身体の感覚の変化や身体の緊張の改善を実感してくださったようで、「身体が流体になった感じがする」など色々と興味深い感想をシェアしていただきました。

ちなみに2日目のワークショップが始まる前の午前中は、日高さん相手にYielding Embodiment®︎ Orchestrationの個人セッションをさせていただきました。正直、セッション中はイールドっぽい典型的な反応がほとんど何も起きなかった(!)ので、「うーん、これはどうだろう…?」と思っていたのですが、セッション終了後に起き上がって歩いていただいたところ、日髙さんから「なんか歩き方がセッション前と違っている気がするんですけど、うまく表現できないです」とのコメントが出てきて、そしてしばらく経ってから、「自分はもともと扁平足で土踏まずがなかったんですけど、何だか土踏まずが出てきたような感じがします。あとX脚もあるんだけどそれも良くなったような」とのフィードバックを頂きました。扁平足のかたに土踏まずが発生するって結構大きな構造的変化ですよね。しかも1回60分のセッションで、軽く身体に触れただけなのに。これはボディーワーカー冥利に尽きるという感じの結果で、かなり嬉しかったです。あとセッション前は左肩の肩関節に引っかかりがあり可動域が狭かったのが、セッション後には右肩とほぼ同じくらいに改善していました。

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最後になりましたが、私のことをJAISTに呼んでくださった日髙さん、教材を惜しみなく提供してくださった澤田泰二郎先生、そしてグループワークのコツについて、事前に的確なアドバイスをくださったRolf Institute教員の田畑浩良さん、そしてlast but not least、お忙しい中私のイベントに参加してくださった皆さん、本当にどうもありがとうございました!

 

日髙さんとのツーショット①(日髙さんは髭があって背も高くて体格もガッシリしてて一見ワイルドだけど、とても優しい目をしているのです)。

日髙さんとのツーショット②