The School of Gravity Blog

栃木県・宇都宮市で「からだとこころの関係」をテーマにした学校(schoolofgravity.jp)を運営しています。

JAISTでのワークショップ・参加者Mさんのご感想

JAISTで開催したボディーワークのワークショップの参加者Mさんより以下のようなうれしいご感想をメールでいただきましたのでご本人の許可のもと転載させていただきます。


>こちらこそありがとうございました!
>途中から自分から動くというより呼吸に体が引っ張られるような感じがしてのびのびできた気がします。
>私事ですが,私はスキューバダイビングをたまにやるので,呼吸で体が浮き沈みする感覚というのをイメージではなく実体験しているのもあって,呼吸と体の連動というかそういうのは何となくわかる気がします(ダイビングでは基本的に呼吸で浮き沈みやホバー状態をコントロールするので)。

 

Mさんは開始前に「自分は感覚が弱いので…」と仰っていたのに実際ワークショップがはじまってみると、とてもボディーワーク初体験とは思えないような滑らかで自然で無理のない動きをしておられて、終わった直後のシェアのときにも「身体が流体になった感じがしました」というような実感のこもった印象のあるコメントをされておられたので正直「え、感覚全然弱くないんちゃう???」と驚いてしまったのですが、なるほど、ダイビングの経験の中で呼吸と身体の連動性についての感覚を既に掴んでおられたのですね〜!

上の感想文の「自分が動くというより呼吸に体が引っ張られる感じがして」というツボをおさえた表現とかからも、Mさんがワークショップを堪能してくださったのが伝わってきて、こちらも大変嬉しくなってしまいました。

誰しも苦手な感覚のモダリティと得意なモダリティはあると思うので(たとえば私は聴覚がかなり得意で視覚はそうでもない)、苦手なモダリティにこだわらず、得意なモダリティをどんどん伸ばしていけばいいんだとおもいます。ついつい苦手が気になっちゃいますけどね。ということを再確認できたという意味でも、Mさんの感想は大変参考になりました、ご参加ありがとうございました!

北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)でのセミナー及びワークショップの記録

以前にこのブログで告知したように、2023年1月16日〜17日にかけて、北陸先端科学技術大学院大学JAIST)で、私の大学院での研究内容についてのセミナー(知識科学系セミナー「注意欠如/多動性障害(ADHD)の身体性精神医学」 | JAIST 北陸先端科学技術大学院大学)と、ボディーワークのワークショップを開催させていただきました(主催者は認知科学者の日髙昇平准教授)。

実は「①研究者として他大学に呼んでいただきセミナーをさせていただく」というのも、「②ボディーワーカーとして多人数相手のワークショップを開催させていただく」というのも32年の私の人生ではじめての経験で、しかもそこに「③修士論文の締め切り」という一大イベントも重なっていたので、切り抜けられるか不安がゼロだったといえば嘘になるのですが、結果的には指導教員をはじめ周囲のサポートのおかげもあり、思ったよりも苦労なく切り抜けられました。

でも、①と②の準備をしつつ③にも間に合うように論文を執筆するというやや重めのタスクのジャグリングは、仮に周囲のサポートがあったとしても、ボディーワークを知る前の身心のキャパシティの少ない自分だったらうまく回しきれなかったのではないかと思います。今回は「まあ、どうにかなるやろ」と思いながら焦らず落ち着いて作業して、実際にどうにかなったので、自分の成長を感じました(サポートくださった皆さんありがとうございました)。

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さて、まず1日目のセミナーですが、オフライン参加は7-8名、オンライン含めるとなんと30名超の方々が参加してくださいました。私の友人たちも数名オンラインで来てくれて感想を教えてくれたので嬉しかったです。自分は大勢の人の前で自分の考えをあれこれ喋るのは好きだし全然苦ではないのですが、とはいえ今までそういう場面では大抵上気してしまって早口になりがちでした。しかし1/16のセミナーでは、Yielding Embodiment®︎ Orchestrationのセッションをするときの心構えを応用して、自分の丹田のあたりや足裏の感覚に意識を向けつつ話をするようにしたら、特に前半はかなりゆったりと喋ることができて、そんな自分に自分で驚きました(前半ゆったり喋りすぎてちょっと時間が足りなくなったので、途中からやや急ぎ足にならざるを得ませんでしたが)。主催者の日髙さんや友人や参加者の方々からも落ち着いて喋れていたと言っていただいたので、客観的にもokだったようです。

日髙さんからいただいたフィードバックとして、発表の中でADHDの定義を示すタイミングがちょっと遅かったので、もう少し早い段階で示しておくとなおよかったのではないかとのこと。確かに全くその通りなので次回以降改善したいです。

あと一番嬉しかったのは、セミナーが終わったあとに「明日のワークショップも参加します!」と宣言しに来てくださった方(ご年配の社会人大学院生のKさん)がおられたことです。しかも後から聞いた話では、その方は同日に別の大きめのイベントもあったのに、私のイベントのほうを選んで来てくださったとのことでした。そんな熱意のある参加者の方に、2日目も参加したいと思っていただけるような刺さるセミナーができていたなら何よりでした。

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そして2日目のボディーワークのワークショップ。こちらは5名の方々が来てくださり、うち↑のKさんを含む3名は昨日のセミナーからの継続でした。このワークショップでは、フェルデンクライス・オンラインレッスン @Feldenkrais Works得豊合堂(エフアイどう)の澤田泰二郎先生の教材である『肩甲骨ゴルフ①』を、先生のご快諾のもと使わせていただきました。日高さんを除くとボディーワーク初体験の方ばかりで最初は皆さんちょっと緊張されておられたご様子でしたが、それぞれセッション後に身体の感覚の変化や身体の緊張の改善を実感してくださったようで、「身体が流体になった感じがする」など色々と興味深い感想をシェアしていただきました。

ちなみに2日目のワークショップが始まる前の午前中は、日高さん相手にYielding Embodiment®︎ Orchestrationの個人セッションをさせていただきました。正直、セッション中はイールドっぽい典型的な反応がほとんど何も起きなかった(!)ので、「うーん、これはどうだろう…?」と思っていたのですが、セッション終了後に起き上がって歩いていただいたところ、日髙さんから「なんか歩き方がセッション前と違っている気がするんですけど、うまく表現できないです」とのコメントが出てきて、そしてしばらく経ってから、「自分はもともと扁平足で土踏まずがなかったんですけど、何だか土踏まずが出てきたような感じがします。あとX脚もあるんだけどそれも良くなったような」とのフィードバックを頂きました。扁平足のかたに土踏まずが発生するって結構大きな構造的変化ですよね。しかも1回60分のセッションで、軽く身体に触れただけなのに。これはボディーワーカー冥利に尽きるという感じの結果で、かなり嬉しかったです。あとセッション前は左肩の肩関節に引っかかりがあり可動域が狭かったのが、セッション後には右肩とほぼ同じくらいに改善していました。

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最後になりましたが、私のことをJAISTに呼んでくださった日髙さん、教材を惜しみなく提供してくださった澤田泰二郎先生、そしてグループワークのコツについて、事前に的確なアドバイスをくださったRolf Institute教員の田畑浩良さん、そしてlast but not least、お忙しい中私のイベントに参加してくださった皆さん、本当にどうもありがとうございました!

 

日髙さんとのツーショット①(日髙さんは髭があって背も高くて体格もガッシリしてて一見ワイルドだけど、とても優しい目をしているのです)。

日髙さんとのツーショット②

 

知識科学系セミナー「注意欠如/多動性障害(ADHD)の身体性精神医学」@JAIST(オンライン+現地)のお知らせ

2023年の1月16日に、石川県にある北陸先端科学技術大学院大学JAIST)の日高昇平さんに招待していただき、「知識科学系セミナー」という枠で90分もの時間をいただき、大学院での自分の研究の話をさせてもらえることになりました。大変ありがたいことです。翌日の1月17日には、ボディーワークのワークショップも開催させていただけることになりました。

日高さんに確認したところ、1月16日の「知識科学系セミナー」のほうは、JAISTの関係者でなくても、オンラインで観られるようなので、もしご興味とお時間が合う方がおられればぜひご覧ください(おなじみzoomではなくwebexとかいうのを使うらしいです)。

知識科学系セミナー「注意欠如/多動性障害(ADHD)の身体性精神医学」

日  時  令和5年1月16日(月)14:00~15:30

場  所  北陸先端科学技術大学院大学  及び オンライン
https://jaist.webex.com/jaist/j.php?MTID=m090297e3e2bf85fed832b70c3a3e9862Meeting number: 2518 403 5739
Password: abMPvKpt273 URL間違っていました。以下のURLが正しいものです↓

https://jaist.webex.com/jaist/j.php?MTID=m0b5f964f2408e98cd6d9d248808d59b8


講演題目 注意欠如/多動性障害(ADHD)の身体性精神医学

講演要旨
  注意欠如/多動性障害(ADHD)は、伝統的に「脳(機能)の障害」としてモデル化されてきて、その病態や治療において「脳以外の身体」や「ADHD者の身体経験」が果たしているはずの役割は大部分が捨象されてきた。本発表では、いわば「身体性精神医学」と呼びうるような、身体性を重視する哲学的立場からADHDの病態をモデル化し、更にその治療についても考えてゆきたい。

講演者略歴
  1990年大阪生まれ。2015年近畿大学医学部医学科卒業。2015年4月から2018年3月まで宮城県内の急性期総合病院で内科医としての初歩的な現場訓練を受けたのち、科学哲学を専攻するべく2018年10月より北海道大学大学院理学院(科学基礎論研究室)の修士課程に進学(社会人長期履修制度を利用)。2020年よりコロナ対策禍において大学院授業がオンライン化され脱身体化されたことをきっかけに、ヒトの認知において自己や他者の身体の果たす大きな役割に目を開かれ、研究テーマを「身体性」に大幅に変更し、同時期より実践面でも「ボディーワーク」と呼ばれる心理療法と身体運動との接点に位置するような諸技法を学びはじめ、現在に至る。2023年3月北海道大学大学院理学院修士課程修了予定、同年4月より同博士課程に進学予定。

JAIST・日髙研究室の合宿に参加した

11/12(土)は、2018年のJAISTサマースクールで知り合って以降、「面倒見のいい親戚のおじさん」的な立ち位置でちょこちょこ構っていただいている認知科学者の日髙昇平さん(北陸先端科学技術大学院大学・准教授)の研究室の合宿である『第8回認知計算論研究会』@JAIST東京サテライトに部分参加させてもらってきました。

私は「注意欠如・多動性障害(ADHD)の身体性精神医学」というタイトルで発表をしてきたのですが(事前準備に時間があまり割けず、自分にとってあまり目新しい話ができなかったのがやや残念)、日髙さんをはじめ複数の参加者の方々から好意的なレスポンスを頂けて嬉しかったですし、何より日髙さんと2019年の人工知能学会以来3年ぶりにオフラインで再会して2次会で色々と話ができてとてもよかったです。宇都宮までの終電の時間があったので本当はもっと喋りたかったけども、また今度ぜひ。

ちょっとだけボディーワークについても発表の中で触れたのですが、そこも興味を持っていただけたようで、ホッとしました。

こちらに今回の私の発表スライドの一部分を載せておきます。

 

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